さりげなく簡素でいなからにして、上質なスーツと清潔なシャツ。できればカフリンクなぞはしないで、腕にはごくシンプルで上品な時計。そしてこれもちょっとは値がはるかシンプルで上質な靴。一分の隙もないような印象を決して与えはしないが、その実自分のスタイルを控えめに主張しているような、そういうタイプがいいな。うーん、欲張りすぎか。でもこういう男性がしている時計は、聞いてみるとええっとおどろくほどに安価だったりする。「いいだろう?これ。9800円。仕事のときはこれが一番」などと言っている。だから私が過去に貰った時計は、最高1万9800円が関の山である。話がそれてしまった。とにかく男性だけが身につけて美しい様態の時計を自分の腕にはめることができたときは、フランス映画のなかでダブダブの男性もののシャツを身につけた「愛されてるの」女のごとき、秘めた恋慕の心地に舞い上がるほどに幸せを感じてしまう。自分の手首からはみ出るほど大きなフェイスの時計をはめ、ひとりその存在を見やるとき、ふつふつと恋しい想いが募る。なーんていいじゃありませんかねえ。だから私は男の時計を欲しがる。